AFTER STORY
The Case of Amelia
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The Case of Amelia
「魔力のオーバーロード…か…」
アラネオの研究室でアメリアは一人、モニター越しに聞いた別世界の『アメリア』の言葉を思い出していた。
口ぶりから察するに、彼女たちは秘術"クラック"の危険性を伝えようとしたのだろう。
しかし、この術が安全でないこと程度、既にこちらも理解している。
度重なる使用は死に繋がることも把握しているが……それよりも重い代償が存在する、とでも言うのだろうか。
さらにもうひとつ、最も気になる点がある。
クラックは魔力の【変質】によって行われるのだ。
性質を変化させることで、限界を超えた魔力運用を可能にした技術がクラックだ。
しかし向こうの『アメリア』は魔力のオーバーロード…【過負荷】という言葉を使っていた。
装備や口ぶりを見るに、向こうとこちらの文明に、大きな差は無いだろう。
何と言っても、『アメリア』を名乗る自分と瓜二つの人間が、意味の異なる言葉を間違えて発するとは思えない。
我々の知らないことを、彼女たちが知っている可能性が高い。
魔女の武装の核となる「シーラコア」。
魔力の供給源でもあるこのシーラコアに魔力を逆流させれば、オーバーロードという状態を作り出せるのだろうか。
…さらに、こちらの技術で【変質】させた魔力を、シーラコアに流し込むことができれば…?
現場付近で採集した、何かと歪に混ざりあった魔石を観察しながら、思わず笑みがこぼれる。
この件は早急に、検証する必要がありそうだ。
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彼方馳せる思惑